泡盛や地ビール製造のヘリオス酒造(名護市)は、台湾への製品輸出を順調に伸ばしている。2011年に台北市内に現地法人を立ち上げ、今年で10年の節目を迎える。3~4年前の台湾へのリキュールやクラフトビールなどの輸出量は年間4万本弱だったが、21年は1.8倍の約7万5千本と見込んでいる。当初は手探りが続いた市場開拓だったが、16年に台湾の大手量販店での取り扱いが始まったことが、輸出増の背景の一つになった。
台湾に拠点を設けた理由について、松田亮社長は「国内でアジアに一番近いという沖縄の地理的な優位性を生かし、進出を決めた。人口2300万人を有する台湾は市場も大きく、現地法人を立ち上げた」と説明した。
軌道に乗るまでの道のりは平たんではなかった。現地法人を設立した翌年の12年から出荷を始めたが、年間約3千本強にとどめた。松田あかね広報部長は「当初、台湾で何が売れるのかも分からなかった。展示会に積極的に参加したり、地道に飲食店などを訪問したりするなど、いろんな方法を試してみた」と市場調査の段階を振り返った。
16年に台湾国内の外資系大手量販店での販売が決定したことで、17年から輸出量が一気に伸びた。
現在、リキュールの「黒糖梅酒」をはじめ、クラフトビールの「ゴーヤーDRY(ドライ)」などが台湾で人気を博しており、大手量販店では同社製品が世界ビール大手の商品と並べて販売されている。
昨年、全世界で新型コロナウイルスが猛威が振るっていたが、台湾では感染状況の抑え込みに成功し、同社の台湾への輸出も堅調に伸びた。松田社長は「台湾で地道なPR活動を継続し、他の国での拠点設立も視野に入れたい」と今後の展開を語った。
(呉俐君)