望まない妊娠に悩む女性へ 避妊具費を補助する子ども未来ネット 資金尽き支援中断、協力求める


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「リングキャンペーン」を周知するチラシ

 「若年にんしんSOS沖縄」事業など妊娠や出産に悩む女性たちに寄り添う活動を続けるおきなわ子ども未来ネットワーク(山内優子代表理事)は、厳しい経済状況にある女性が望まない妊娠を防げるよう子宮内避妊用具(リング)の費用を援助する「リングキャンペーン」を昨年7月に始めた。

 避妊支援は全国でも例がないという。反響は大きく、これまでに17人が利用し、10人以上が待機して12日までに資金が尽きた。現在受け付けを一時停止しており、再開に向けて資金協力を呼び掛けている。

 同ネットワークは、望まない妊娠に悩む女性たちの相談を受けて産婦人科に同行するなどの支援をしてきた。コロナ禍では「出産できないが、中絶の費用も準備できない」「中絶費用を分割で払える病院はないか」といった相談が増えたという。

 相談者の中には「出産や中絶直後に妊娠を繰り返す」「10人目を妊娠中」など母体の健康や子育て環境に負担が大きい人もいる。医療関係者や保健師が避妊を勧めても、男性が協力しない、避妊具を準備するお金がないなどの事情で進まないこともある。

 苦しむ女性たちを前に「何とか望まない妊娠を予防できないか」と山内さんたちが思案していたところ、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN、上野千鶴子理事長)が行う「WAN基金コロナ禍対策女性連帯プロジェクト」から50万円の助成を受けた。山内さんの著書の売り上げやその他の寄付を合わせてリングキャンペーンを開始。地域の保健師の面談を経て経済的に困窮する女性に上限3万円を支援する。

 支援を受けた女性からは「安心して子育てに向き合い、仕事も考えられるようになった」などの声が寄せられている。山内さんは「妊娠の心配から解放され、女性が生き生きと自分の人生を歩き出すのを見て、やってよかったと思った」と語る。資金が集まり次第、再開できるとし「妊娠や中絶、出産と女性の負担は大きく、支援を必要とする人が多い。男性にも協力してほしい」と寄付を呼び掛けた。

 支援の相談は市町村の保健師や支援機関など。寄付の問い合わせはおきなわ子ども未来ネットワーク(電話)098(989)7301。(黒田華)