「利用者目線の公共交通を」 与那原でオンライン交通シンポ


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オンラインシンポで公共交通について議論を深める与那原町の照屋勉町長(左)と熊本市の大西一史市長(中央)ら=2月20日、与那原町役場

 【与那原】与那原町の将来的な公共交通の在り方を考えるシンポジウムが2月20、27日にオンラインで開催された。シンポジウムのテーマは「あなたの変える交通が未来を創る」。新しい公共交通を活用したまちづくりなどについて、議論があった。

 20日は公共交通に先進的なまちづくりを実践する熊本市の大西一史市長と与那原町の照屋勉町長による対談形式で議論を深めた。進行役は沖縄国際大学大学院の前泊博盛教授が務めた。

 熊本市では2013年に熊本市公共交通基本条例が制定され、公共交通の維持などに関する責務を規定した。同市ではこの条例後、市電のバリアフリー化や停留所、線路の移動、路線バスの再編などを積極的に行い、利便性を図ったという。大西市長は「利用者目線で利便性を高めれば乗車率は増える。誰もが移動しやすい、暮らしやすいまちづくりにしていくことが重要」と述べた。

 照屋町長は町内の慢性的な交通渋滞や町東浜に計画中の大型MICE施設利用者の移動手段の課題などを伝えた。「那覇―与那原間の公共交通を強化させ、将来的にはBRT(バス高速輸送システム)やLRT(次世代型路面電車システム)などを導入し、利用促進を図りたい」と語った。

 シンポジウムではこのほか、車社会の沖縄についても議論になった。前泊教授はバスを利用する学生の例を挙げ「多くが『バスは安くて便利』という回答だった」と伝えた。

 27日のシンポジウムではモビリティージャーナリストの楠田悦子氏と姫島エコツーリズム推進協議会会長の寺下満氏、与那原町政策調整監の前城充氏のほか、ファシリテーターに一級建築士の齊藤せつな氏を迎えて、小型モビリティーを活用した移動やウオーカブルシティーなどについて議論を深めた。