沖縄の漁港、放置船923隻 離島では本島の倍 県内の処分業者わずか1カ所


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県内の放置船の例(沖縄行政評価事務所提供)

 総務省沖縄行政評価事務所は17日、昨年9月~今年3月までの間で、県内の全漁港に放置されていた船の数が923隻だったとする調査結果を発表した。1漁港当たりの放置船数は離島が約14.2隻で、本島が約7.7隻と倍近い差があった。同事務所は「離島で放置船が多いのは船の処分が難しいからではないか」と背景を分析している。

 飲食店や水産物の直売所が併設されるなど観光資源として漁港の活用が求められている中、長期間使用されずに放置されている船が台風時の二次被害を生み出したり火災を誘発したりしていることなどから、沖縄行政評価事務所は、県内全86カ所の漁港を調査した。

 過去の放置船の状況についても調べたところ、2016年度の放置船数は697隻だった。ただ県の放置船の定義が変わっていることから、同事務所は単純に増加していると判断するのは難しいとしている。

 調査結果によると、本島内の46漁港に放置されている船は355隻だった。一方、離島の40漁港に放置されている船の数は568隻だった。放置船が発生する理由について県や市町村など漁港管理者からは「船舶所有者のモラル欠如」「船を引き継ぐ人がいない」などの意見が出た。

 このほか、小型船の素材として主流となっているガラス繊維強化プラスチック(FRP)を材料としている「『FRP船』のリサイクル料が高額」などといった意見もあった。全放置船の94.1%(869隻)がFRP船だった。ただ県内で船のリサイクル処分ができる業者が、本島内に1カ所のみであることなどから、沖縄行政評価事務所は「船の航送費が高額などの理由で離島で放置船が多いのではないか」などと分析している。同事務所は今後、今回の結果を港湾管理者に情報提供していく予定。