移動販売「待ってたよ」 糸満いちまん会事業 高齢者に人気


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明
介護施設の外で、移動販売車に並べられた新鮮な野菜や缶詰などを買い求める施設利用者ら=糸満市真栄里の「デイサービスいちまん」

 【糸満】新型コロナウイルス感染症の影響で、外出がままならない中、介護支援事業などを展開している糸満市のいちまん会(上原亮代表取締役)が2月から高齢者向けに移動販売を開始し、人気を集めている。いちまん会が移動販売専用車両を用意し野菜や日用品、缶詰などを仕入れ、同会が運営する施設を複数箇所回る。

 同19日、市真栄里の「デイサービスいちまん」玄関前に車両が到着すると「待ってたよ」「外で買い物できるのがうれしい」と待ちわびた施設利用者が集まり、野菜やお菓子を買い求めた。

 「デイサービスいちまん」では以前、リハビリを兼ねて毎週1回、ファーマーズマーケットや商業施設に出掛ける「買い物会」を開催していたが、コロナ感染防止のために昨年4月から中止していた。外出が減ることでストレスがたまり、認知症の進行や筋力の低下を懸念していた上原さんら職員が「遠出は難しいがせめて青空の下で、買い物代行を通さず自分で買い物をする楽しみをつくりたい」と考え、移動販売車を活用した買い物を実現させた。

 移動販売車には、市内で採れたトマトやタマネギなどの野菜や、缶詰、お菓子や歯ブラシなどが並べられた。通所利用者は「(買い物代行ではなく)自分で見て買うのは久しぶり」「孫にあげるお菓子が買えた」など笑顔を見せた。高嶺静さん(82)は「トウモロコシとレタスを買った。新鮮な野菜を自分で選べてうれしい」と喜んだ。 (嘉数陽)