辺野古埋め立て157億円増 防衛省 入札経ず増額繰り返す


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 【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、防衛省が埋め立て工事の契約変更を繰り返し、発注から2年半で工費が当初の259億円から416億円に増え、約1.6倍に上っていることが19日、分かった。19日の沖縄等基地問題議員懇談会で防衛省から提供された資料で明らかになった。契約変更の理由について防衛省は警備費、埋め立て材の変更、運搬方法の変更などを挙げている。入札を経ずに工費の増額を繰り返していることに対し、専門家からは透明性や公平性を疑問視する声が上がった。

 2年半で1.6倍に

 今回資料で明らかになったのは、沖縄防衛局が2018年3月に発注した「シュワブ(H29)埋立工事」の1~3工区で、現在工事が進められているキャンプ・シュワブ南側の区域に当たる。

 県外の大手ゼネコンと県内の業者による三つの共同企業体が18年3月2日に1工区を118億7784万円、2工区を70億9020万円、3工区を69億3360万円でそれぞれ契約。総額は259億164万円に上る。

 だが、20年9月末までに1工区で3回、2工区で5回、3工区で5回にわたって増額を伴う契約変更が行われ、157億971万円増の総額416億1135万円までに増えている。

 防衛省が沖縄基地懇で説明した1工区と2工区に関わる契約変更については、埋め立て材を海砂から岩ズリへ変更したことに伴い10億6977万円、県の赤土流出防止条例に伴う赤土流出防止対策で12億8580万円、埋め立て土砂の海上運搬方法の変更で11億3598万円、土砂搬出作業を行う本部港の警備費として52億7153万円がそれぞれ増額された。

 防衛省は「地盤改良工事の追加に伴う合理的な施工計画の検討結果や当時の工事状況を踏まえ、必要な経費をしっかり積み上げたものとなっている」と説明した。

 入札なしでの増額については「必要があると認められた場合は、関係法令等に基づき適切に措置している」と述べ、問題ないとの認識を示した。