部活高2自殺 遺族「学校が事前に対応していたら」 顧問の過去の問題行動も知り憤り


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亡くなった生徒が小学校6年生の頃の文集で「将来の夢」について書いた文章

 コザ高校の男子生徒が自ら命を絶った事案で、第三者調査チームの報告書が男性顧問との関係を自殺の要因に挙げたことに遺族は一定の評価をしつつ、学校や県教育委員会に対し「『指導死』に向き合ってほしい」と再発防止を求めた。顧問の問題行動が過去にもあったことが明らかになり、「学校が事前に対応していたら未然に防げた」と憤った。

 遺族には18日に県教委から報告書が手渡された。顧問の授業中の発言で別の生徒が不登校になった事例など、報告書を読み初めて知ることもあった。母親は「なぜ(顧問への十分な対応がない)そういう環境を作ったのか」と疑問を抱いた。顧問が生徒とのLINE(ライン)のやりとりを削除したことも判明し、母親は「不都合になるものがあったのか」といぶかしむ。

 父親は「息子に寄り添っていたら、こんなことにはならなかっただろう」と力なく話した。

 特別推薦入学の生徒が、3年間部活を辞めない「活動継続確約書」へ署名したことに、母親は「部活を辞めることで出身中学の後輩への影響を心配もする。とても重たい」と受け止める。報告書は、調査委員から調査期間が不十分との注文もあり、母親は「もっと期間があれば掘り下げてできたと思う」と指摘した。

 遺族の自宅には生徒の冥福を祈るため、関係者の来訪が後を絶たない。生徒は学校の先生になることを小学生の頃から夢見ていた。小6の文集には、教師になって後輩たちに「勉強だけじゃなく、人として大切なことを教えてやりたいと思う」と書いた。しかし、その夢はもうかなうことはない。

 母親は遺影で笑顔を見せる息子を見て「まだまだそばにいるような気がする」と語る。「勝利に向かってちゃんと指導をしていれば、息子は命をなくすことはなかった。まさに『追い詰められた』と思う」。


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