【記者解説】部活高2自殺 死を招く指導の背景や要因、調査が不足 実効性ある防止策を


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 沖縄県教育委員会が公表した第三者調査チームによる報告書は、亡くなった生徒と顧問の間で何があったのかを詳しく明らかにしたが、死を招くような指導がなぜ行われたのか、なぜ止めることができなかったのかという点について調査が不足している。3週間に満たない調査期間について、調査チームは報告書で「期間が不十分であることは明らか」と苦言を呈し、さらなる調査の必要性を指摘している。

 県教委によると、調査チームが聞き取りをしたのは遺族を除いては18人だった。主に現在の学校の教職員や部活生などに限られた。そのため、顧問が特定の生徒に厳しい指導をするようになったのはいつからかと問われても、県教委は「分からない」と答えるしかなかった。

 今後、県立学校の全部活動を対象とした実態調査が行われる。教職員のみならず、生徒や保護者も対象にした大規模な調査となる見込みだ。実態を明らかにするのは当然だが、求められているのは再発防止だ。

 不適切な指導が起きる背景や要因を明らかにし、実効性のある防止策をつくる必要がある。

(稲福政俊)


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