NYの県系4世が辺野古告発「生まれた国が祖先の環境を破壊」 米ネーション誌に掲載


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 米国の総合誌「ネーション」(電子版)に、沖縄戦の戦没者の遺骨が残る本島南部の土砂を採取して名護市辺野古の新基地建設に使う問題についての記事が2月18日付で掲載された。寄稿したのは、県系4世でニューヨーク在住のジャーナリスト、マイア・ヒベットさん(24)だ。ヒベットさんは米軍基地が隣り合わせの沖縄の日常に、「私が生まれた国が、私の祖先の環境を占領し破壊していることに怒りを感じる」と話す。選挙や県民投票を通して県民が基地に反対する意思を示してきたことに触れ、「日米両政府が県民の願いを尊重することを願う」と話した。

祖母アキコ・ヤマガワ・ヒベットさん(中央)は「私の大きな励みであり、人生の中で最も大切なロールモデル」と語るマイア・ヒベットさん(右)=2020年

 ヒベットさんは記事で、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんの取り組みや新基地建設予定地の軟弱地盤、基地の日米共同使用の問題などを報じた。本島南部は「戦没者の遺族が訪れ、祈りをささげる聖なる場所」(具志堅さん)であり、その土砂を基地建設に使うことは戦没者の遺骨を土台にした基地ができることだと指摘した。「人道的な問題であることに気付き、計画に反対する声を共に上げてくれると思う」と、米国人の連帯に期待する具志堅さんの言葉も伝えた。

 ヒベットさんの曾祖父ヤマガワキタロウさんは今帰仁村の古宇利島出身、曾祖母カネシハナさんは同村仲宗根の出身。共に今帰仁の出身だが、出会ったのは米国に向かう途中のペルーだったという。祖母アキコ・ヤマガワ・ヒベットさん(96)は86歳の時、ハナさんの人生を本にした。祖父ハワード・ヒベットさんはハーバード大名誉教授で、日本文学を研究、2019年に98歳で亡くなった。

 祖母らと共に、昨年1月に沖縄を訪れたヒベットさん。「世界の先住民族の土地は、経済・軍事帝国の拡大で盗まれ、汚染されてきた。沖縄での米国の存在はその一例だ」と見る。沖縄の現状は、米国の軍産複合体と世界の軍事力による環境的レイシズム(人種差別)の一つだと考え、新基地建設の問題を書くきっかけになったという。

 「より多くの米国人が私たちの巨大な帝国が引き起こした重大な結果について、批判的に考え始めることが重要だと思う」と話した。

 (座波幸代)