落とし物が初めて減少 マスクは9倍に 「美ら海水族館」がある本部署は7割減


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 県警が2020年に取り扱った拾得物は14万2386件で、19年の18万4699件から約23%(4万2313件)減少した。07年に遺失物法が改正され県警が新たに統計を始めて以降、初めて減少に転じた。マスクなど医療関連品の取り扱いは約810件で、前年の約90件から9倍に増加した。県警会計課の沖田暢彦次席は「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う観光客の減少が(拾得物減少の)主な要因とみられる」と分析する。

 県警によると、管内に沖縄美ら海水族館がある本部署は、前年の8913件から約74%減少し2327件で、県内14署のうち増減率は最大、取扱件数は最少となった。外国人関連の拾得物取り扱いは前年の2164件から半減して、1189件だった。

 管内に那覇空港を抱え例年の取扱件数が最多の豊見城署は、前年比で約42%(1万9756件)減少し、2万6929件。那覇署は前年比で約23%(7869件)減少し、2万6460件だった。新型コロナ感染拡大の影響で、航空各社の減便や渡航自粛などの影響が出たとみられる。

 感染症対策などに用いられる医療関連品の取り扱いは急増した。取り扱いの大半を占めるマスクは約9倍増となったほか、消毒薬などの拾得物も増加傾向にあるという。

 沖田次席は「新型コロナの影響が如実に表れた。観光施設関連の拾得物は減少した。県民は、商業施設などで精算後に商品を置き忘れる事例が目立つ」と指摘する。

 県警は20年11月から、拾得物の電話問い合わせ先を一元化し、県警本部会計課内に専従職員を配置して対応している。豊見城署と那覇空港ビルディングは同年9月、「拾得物件の保管等に関する協定書」を締結した。拾得物関連の業務を円滑化して、新型コロナ収束後に観光客が戻った場合でも、万全の対策を推進する方針。拾得物情報は県警ホームページで検索できる。(高辻浩之)

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