パラ陸上の日本選手権最終日は21日、東京・駒沢陸上競技場で行われ、男子走り幅跳び(義足T64)で又吉康十(名護高―帝京平成大出、ゼンリンDC)が6メートル03を記録した。女子1500メートル(T53・54)の喜納翼(タイヤランド沖縄)は4分06秒74だった。ともにエントリーは1人でトップ記録となった。男子200メートル(脳性まひT37)の石垣喜人(日本福祉大)は4位、800メートル(車いすT54)の城間圭亮(シーズアスリート)は5位だった。
女子走り幅跳びの義足T63クラスは東京パラリンピック代表に内定している兎沢朋美(日体大)が追い風参考で4メートル52を跳び制した。
悪天候も成長の糧に
風速2~6メートルほどの気まぐれな追い風が吹き、強い雨がフィールドにたたき付ける。助走速度が上がって歩幅が合わず、3回目まではいずれもファウル。しかし、T64男子走り幅跳びの又吉康十に焦りはなかった。「本来なら東京パラの代表内定に向け世界ランキング6位の記録(6メートル92以上)を目指していたけど、悪天候は分かっていた。練習の気持ちで臨んだ」
4回目は記録を残す意味で「踏み切りを合わせにいった」と5メートル46を記録。徐々にタイミングが合い、最終6回目は追い風参考記録ながら自己ベストまで30センチに迫る6メートル03を跳んだ。「いい記録ではないけど、最悪のコンディションで出せたことは良かった」と及第点を付ける。「こういう天候でもメダルを懸けた戦いなら記録を出さないといけないので、もっと調整力を身に付けないと」と、いい経験にもなったようだ。
1週間後にも日本パラ公認の記録会が控える。6メートル92以上の跳躍で東京パラ代表に内定する。4月下旬のジャパンパラ競技大会でも内定の可能性があるという。「助走速度や空中姿勢を改善し、代表として東京パラを盛り上げたい」。大舞台で高々と空に舞い上がる日を夢見て、挑戦を続ける。(長嶺真輝)
2週間で3大会「収穫になった」/喜納、東京パラ見据える
最終日は風雨が強く800メートルは棄権したが、2日間で400メートル、1500メートル、5千メートルの3種目に出場した喜納翼。フルマラソンでの東京パラリンピック出場が濃厚な中、「スタートやレース中に自分のペースをつくることではどの種目も同じ。収穫になった」と振り返った。
今月7日はフルマラソン、14日は10キロと2週間で3大会に出場し「それぞれ違う距離でいい刺激になった」と言う。東京パラ代表に内定すれば、準備が本格化する。「来月からは走り込みになるので、しっかりトレーニングを積んでいきたい」と今後を見据えた。
パワー付けたい
女子T54の200メートルで2位だった安川祐里香の話 風が強い中で、トレーニングの成果を出せなかったのは悔しい。自分は風に弱いので、もっと立ち向かえるだけのパワーを付けたい。
現状を分析したい
男子T37の200メートルに出場した石垣喜人の話 悪天候もあったが、31秒台は全然駄目。今の現状は知ることができた。何が悪かったか分析し、ベストの29秒27を更新したい。
【男子】
▽T37の部200メートル決勝 (4)石垣喜人(日本福祉大)31秒20
▽T54の部800メートル予選2組 (3)城間圭亮(シーズアスリート)1分53秒67
▽同800メートル決勝 (5)城間1分52秒27
▽T64の部走り幅跳び決勝 (1)又吉康十(ゼンリンDC)6メートル03
【女子】
▽T54の部200メートル決勝 (2)安川祐里香(日本オラクル)38秒12
▽同800メートル決勝 棄権 喜納翼(タイヤランド沖縄)
▽T53・54の部1500メートル決勝 (1)喜納4分06秒74