南大東島に生息するリュウキュウコノハズクの個体数動態を推測する数理モデルを北海道大学大学院の研究チームが開発し、雌の生存率が他のフクロウ類より低く、個体数が減少傾向にあることを解明した。従来のモデルにはなかった性比の偏りを考慮することで、絶滅に近い生物種など、小さな個体群の保全に役立てられるという。国際学術雑誌「ポピュレーションエコロジー」に22日、オンライン掲載された。
フクロウの仲間は夜行性で観察しづらく、特に島しょや熱帯・亜熱帯での研究は少ない。研究チームは2002年から南大東島でリュウキュウコノハズクの調査を続けている。蓄積したデータをIPMと呼ばれる最新の統計手法に組み込み、生存率や子どもの数、性比、個体数の変化を明らかにした。
この結果、南大東島のリュウキュウコノハズクは雌の生存率が他地域のフクロウ類より低く、この影響を受けて個体数が緩やかな減少傾向にあることが分かった。島内では野生化したネコやイタチによる捕食がたびたび目撃されている。巣で卵やひなを抱く雌をこれらの外来種が襲って数を減らしている可能性があるという。研究チームの高木昌興教授は「小さな個体群では性比の偏りが個体数全体に大きく影響するが、従来のモデルでは考慮できなかった。外来種対策を含め、今後の保全に生かしたい」と話した。