防衛施設周辺土地の規制法を閣議決定 私権制限の懸念強く


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 【東京】政府は26日、米軍や自衛隊など防衛施設周辺の土地利用を規制する法律案を閣議決定した。与党協議では所有者の個人情報や利用実態を国が調査する注視区域などの指定に当たっては「経済的、社会的観点から留意すべき」だとの文言を盛り込み、経済活動を阻害しないよう人口密集地や商業地などの周辺環境に応じて区域指定を緩和できるようにした。具体的な指定要件は法律成立後に政府が策定する基本方針に委ねられ、時の政権の意向で変わり得る余地を残す。私権制限の懸念は依然強く、国会審議でも論戦がありそうだ。

 法案は偵察や侵入、電波妨害といった懸念から防衛施設を守ることを目的とする。国境離島や、米軍基地など防衛関係施設から1キロメートルの範囲内で「注視区域」を設定する。政府が住民基本台帳や不動産登記簿などから所有者の個人情報や利用状況を調査し、必要に応じて報告を求めたり、利用中止を命令したりできる。

 司令部機能がある基地や重要性が高い国境離島は「特別注視区域」とし、土地の売買時には双方に個人情報や利用目的などの事前届け出を義務付ける。

 利用の中止命令に応じなければ、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金に処すなど罰則を設ける。必要に応じて国が買い取れるようにする。

 与党協議ではまた、政府が集める個人情報に関し「必要な最小限度のもの」にとどめる規定も設けた。

 法案を巡っては、立憲民主党などが反対姿勢を示している。