【記者解説】与党議員は「伝統的家族観」異論、野党からは後退指摘 宜野湾男女共同参画推進条例


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宜野湾市男女共同参画推進条例案を全会一致で可決する市議会=26日、同議会

 宜野湾市議会に提案された男女共同参画推進条例案は、市と全議員が互いに譲歩して全会一致の可決に落ち着いた。前回の「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案は主要与党会派の反対多数で否決されたが、男女共同参画の推進に向け全員の目的が一致した。

 前回案は「多様性」や「性的指向」といった文言に、与党議員の一部から性的少数者のパートナーシップ制度を認める「性の多様性」条例へ発展することを懸念する声があった。懸念が議会で示されることはなかったが、ある与党議員から、性の多様性を認めることで「伝統的家族観が壊れる」と保守的な意見もあった。

 前回案は性の多様性に特化した内容ではなかったが、市と諮問機関は文言に慎重な議論を重ね、より男女共同参画に集中した今回案を練り上げた。前回案に賛成した野党議員からは後退に疑問の声もあった。

 市議会の前回案否決は市内外から関心を集めた。市の今後の施策推進が試される。また今回案に反対する市民が市議会に提出した陳情は、総務常任委員会で継続審査となっており、今後の取り扱いが注目される。

 (金良孝矢)