沖縄本島の潜在再エネ、県内年間需要の4分の3 太陽光と風力 琉球大・與那助教まとめ


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與那篤史氏

 沖縄本島で潜在的な導入可能性がある再生エネルギーの量(導入ポテンシャル量)について、住宅用などに設置する太陽光発電施設で年間200万メガワット時、陸上風力発電施設で年間400万ワット時、合計約600万メガワット時の発電量が見込まれる。2019年度の県内電力需給量約800万メガワット時の4分の3に相当する量が、潜在的な再生可能エネルギーとして存在することになる。

 この数値は環境省がインターネットで公表する、再生可能エネルギー情報提供システム「REPOS(リーポス)」が公表する「導入ポテンシャル量」を、琉球大工学部の與那篤史助教がとりまとめた。導入ポテンシャル量は「エネルギーの採取・利用に関する制約要因による、設置の可否を考慮したエネルギー資源量」(環境省)とされる。実際の導入に伴う事業採算性は加味せずに算出する。あくまで「理論値」で、導入実現には施設整備の採算性や電力供給のためのシステムの安定化など、高いハードルがある。

 陸上風力発電施設は主に本島北部の海岸沿いに設置の余地があった。住宅用は中南部の住宅密集地で導入ポテンシャル量が多い。與那氏のまとめによると、沖縄本島では他に、公共系施設などでの太陽光発電設備のポテンシャル量が住宅用と同水準ある。

 與那氏によると、19年度の県内電力需給量のうち再生エネルギーが占める割合は5・9%にとどまり、9割以上は火力発電でまかなう。再生エネルギーの利用拡大には(1)発電した再生可能エネルギーを蓄える高機能バッテリー(2)太陽光・風力の変動を正確に予測し、需要に応じて適切に給電する仕組み(3)住宅などでの自家発電と消費、電力会社からの給電を総合的に調整するシステム―などの導入が重要だと指摘した。
 (島袋良太)