「引退馬、幸せな余生を」 県内初の養老牧場始める うるま・下村さん夫妻


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引退馬の養老牧場を立ち上げた下村渉さん(左)とエリザベスさん(右)=2月28日、うるま市赤野のホースガーデンちゅらん

 【うるま】引退馬に安住の地を―。乗馬クラブを引退した馬や元競走馬が穏やかに余生を送れるふれあい養老牧場「ホースガーデンちゅらん」が2月28日、うるま市赤野にオープンした。引退馬の養老牧場は県内初。牧場を経営する下村渉さん(36)、エリザベスさん(46)夫妻は「今まで人々を癒やし、楽しませてきた馬が最後まで安心して過ごせる環境を与えたい」と力を込める。

 大の馬好きで、県内の乗馬クラブやふれあい牧場で働いてきたエリザベスさん。競馬で走れなくなったり、乗馬クラブから手放されたりした馬のほとんどが寿命を全うすることなく処分される現状に「いてもたってもいられなくなり」、引退馬専門の養老牧場を立ち上げることを決意。クラウドファンディングで資金を集め、九つの馬房と運動場がある牧場を造った。

 調教師の渉さんは「元競走馬を乗馬クラブやふれあい牧場で活躍できるよう再調教することができる。年を取った馬が余生を過ごすだけでなく、若い引退馬に第二の“馬生”を与える場にしたい」と考えている。

 現在、ちゅらんでは下村夫妻の愛馬2頭と2月に乗馬クラブから引き取った26歳の引退馬の3頭が伸び伸びと暮らしている。さらに今後、引退した競走馬が仲間入りする予定だ。

 今後は馬主から馬を預かるサービスを進めるとともに、えさやり体験など馬とのふれあいを通して、その魅力を伝えていきたいと考えている。エリザベスさんは「資金繰りは苦しいが一頭でも多くの命を救いたい。引退馬を通して命の大切さを感じてほしい」と来場を呼び掛けた。

 問い合わせは下村さん(電話)090(8290)3998。