「32軍壕、全体調査を」 検討委 坑道など未調査部分 文化財指定で規制課題


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文化財指定などをめぐり議論した県の「第32軍司令部壕保存・公開検討委員会」の第2回会合=29日、那覇市の自治研修所

 県は29日、学術と技術分野の有識者でつくる「第32軍司令部壕保存・公開検討委員会」の第2回会合を那覇市の自治研修所で開いた。県から文化財指定の課題について説明があり、委員からは未調査の坑道や坑口の調査を求める意見が多数、出された。第3回は5月下旬以降に開き、今後の調査内容について検討する。

 県は1993~94年度に試掘調査を実施したが、中枢部には到達できず、第1坑道と第4坑道は未調査となっている。その後、27年間も調査が行われていない。司令部壕の保存・公開の在り方や範囲を決める根幹となる全体の調査を実施し、歴史的な価値を意義付けられるかが問われる。

 県の担当者は、文化財指定をすれば現状変更に最も強い規制が課され、大幅な改変ができなくなることを説明した。その場合、文化財として保存しながら、一般公開することは難しくなるという。文化財指定のためには調査が必要で、現在、入ることができる第2、第3、第5の坑道は指定が可能とみられる。一方で、諸見友重文化財課長は「入れていない第1坑道や第4坑道を文化財指定することは難しい」と述べた。

 これに対し、吉浜忍元沖縄国際大教授は「文化財指定は県民の思いから当然だが、第1坑道などよく分からないことが多いのが32軍壕だ。徹底的な調査をしてほしい。周辺の留魂壕やトーチカとの関連など総合的な調査も必要だ」と指摘した。

 伊東孝琉球大教授は「立て坑はおおよその場所が分かっているが、電気探査をすればきちんと分かる。早くきちんとした調査が必要だ。地下水の出入りも把握が必要だ」と提起した。

 小泉淳早稲田大名誉教授も「人工的に掘った土と元々の土は物理的な探査で区分けができる。まず今やることは全体を調べることだ。それで、どの部分を指定するか見る必要があるし、ある程度修復した上で指定を受けることも考えなければならない」と述べた。

 大城和喜元南風原文化センター館長は、沖縄陸軍病院南風原壕群を町文化財指定した経験を踏まえ「永久に保存し活用するため文化財にしてほしい」と強調した。