高校「歴史総合」で沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)について記述したのは、検定を合格した12冊のうち7冊だった。「軍の命令」があったと記述した教科書はなかった。山川出版の教科書は3冊が合格し、このうち1冊は沖縄戦に関する注釈で「その(沖縄戦の)過程では、事実上日本軍に強要された住民の集団自決もおきた」と、日本軍の強制性に触れた。
2冊が合格した第一学習社の教科書のうち1冊は「激しい戦闘で、一般住民を含む県民12万人が犠牲となったが、このなかには戦時体制下の日本軍による教育・指導や訓練の影響などを受けて、『集団自決』に追い込まれた人々もいた」と記載した。
2冊が合格した実教出版は、両方の教科書で沖縄戦に関する特集ページを設けて詳述し、読谷村のチビチリガマとシムクガマの事例を対照的に取り上げた。そのうち1冊では「チビチリガマでは戦場経験のあるリーダーの下で『集団自決』がおきた。一方シムクガマでは、ハワイ帰りの移民経験者がおり、包囲する米兵と交渉して無事収容所に向かうことができた」と記した。
「6月23日には沖縄が陥落」(明成社)、「激しい地上戦となった沖縄戦」(清水書院)など、沖縄戦に関する本文中の記述自体が少ない教科書もあった。