万国津梁会議が提言「政府と沖縄県、基地負担減へ発信を」 辺野古は「最もあり得ぬ選択」


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玉城デニー知事(右)に提言書を手渡す万国津梁会議の柳沢協二委員長=31日、沖縄ハーバービューホテル

 沖縄県が有識者を集めて設置した「米軍基地問題に関する万国津梁(しんりょう)会議」は31日、玉城デニー県知事に沖縄の基地負担軽減に向けて2020年度の議論をまとめた提言書を提出した。日本政府と県が米中対立の緩和や沖縄の基地負担軽減の必要性について発信すべきだと提言した。19年度に引き続き二度目の提言で、本年度に入っての新たな事情を踏まえ、特に県からの情報発信を強く求めている。

 31日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで万国津梁会議の柳沢協二委員長(元内閣官房副長官補)が玉城知事に提言書を手渡した。玉城知事は「分析し、速やかに県の施策に反映させたい」と答えた。提言書に基づき、沖縄から平和を発信するべく広島県や長崎県との連携を検討していく考えを示した。

 柳沢委員長は「政治家としての玉城デニー知事の判断で、沖縄の基地負担軽減に向け発信する姿勢を見せてほしい。その理論構成のための要素は提言に盛り込んだ」と語った。

 提言書は普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、政府から軟弱地盤の改良に向けた設計変更が提出された経緯を踏まえ「唯一の解決策」ではなく「最もあり得ない選択肢」と表現。ただちに中止すべきだと指摘し、政府は辺野古工事と関わりなく普天間飛行場の危険性除去と運用停止の方策を米国や県と協議することを求めた。

 米中対立の激化を背景に新たな作戦構想を進める米軍が沖縄を軍事拠点として重視していることを認めた上で、この時期に県や日本政府が地元の負担軽減に向けた意見を反映させていく重要性を訴えている。

 全国でも米軍の訓練が激しさを増す中、日米地位協定の抜本的な改定が必要だが、自治体側が取り得る手段として各地域の防衛局との間で基地の米軍使用に関する協定締結を挙げた。具体例を解説し、協定のひな形を提示している。