小中全教員対象 北谷が平和研修 沖縄県内2例目 指導につなぐ


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北谷町教育委員会が実施した初任者を対象にした平和研修=2020年7月、米軍キャンプ瑞慶覧内の特攻艇秘匿壕(町教委提供)

 【北谷】北谷町教育委員会は本年度から町内小中学校の全教職員を対象に平和学習研修を実施する。初任者や中堅者などに限って平和研修をする自治体は多いが、全教員を対象にするのは中城村に続き県内2例目。夏休み期間を活用し、町内の小中学校全6校から毎年2校ずつ、3年かけて実施する。

 研修では、南城市の糸数アブチラガマを訪れた後、各学校が計画したコースで戦跡を巡る。本年度の実施校である桑江中学校は町内の戦跡巡りを予定している。町ではこれまでも初任者を対象に町のクマヤーガマや特攻艇秘匿壕などを訪れ平和研修をしていた。

 津嘉山信行町教育長は「フィールドワークは資料だけでは学ぶことができない沖縄戦の実相に触れることができる。継続的に学び、自分自身で指導方法を考えてほしい」と語った。

 同町には、退職教員らが中心となってつくる沖縄市平和ガイドネットワークなどから、沖縄戦に対する教員の知識不足を懸念し「地域が主体となって研修に取り組んでほしい」との要望があった。町は2020年度に予算を組み全教職員研修を計画したものの、新型コロナ感染拡大で中止となり、本年度の実施となった。

 沖縄市平和ガイドネットワーク代表世話人の森根昇さん(79)は「間違った歴史認識で書かれている教科書もある。だからこそ、全教員が史実、戦跡巡り、証言を大事にして、関心を持って学び続けてほしい」と強調した。 (新垣若菜)