かつて“イラストの女王”として琉球新報の小中学生新聞「りゅうPON!」の紙面を彩った沖国大2年の大城莉子さん(19)=与那原町=は昨年8月、本紙のオピニオン面「声」の欄への投稿を始めた。国際問題から人権、教育など幅広い事象に対し自らの意見をはっきりとつづる。切り抜きをまとめたスクラップブックはイラストから投稿文に変わった。
幼い頃から絵を描くのが好き。新聞にイラストの投稿を始めたのは小3の頃だ。りゅうPON第3号の読者投稿コーナー「掲示板」に机に向かって勉強する少女の絵が載った。「うれしかった」。投稿の常連になった。
2015年11月、中2になった大城さんはりゅうPONの表紙を飾った。「最多掲載を誇るイラストの女王」と写真付きで大々的に紹介され、周囲の反響も大きかった。だが、りゅうPONは「小中学生新聞」。大城さんも中3を最後に投稿を卒業した。イラストなど投稿は約45本に上った。
「自分の気持ちを書いてみたい」。昨年8月、母親が記事を読んで感動した思いを声の欄に投稿する様子を見た大城さんは揺さぶられた。コロナ禍で大学に通えない不安な気持ちを書いた投稿文が初めて掲載された。その後も沖縄の基地問題に絡むインターネットでの誹謗(ひぼう)中傷、男女平等などあらゆるテーマで投稿。分かりやすく、率直な思いがこもった文章は3月末までに12本が掲載された。
香港の民主化デモに関しては、香港警察が12歳の少女を制圧していたことに触れ「本当に怖かったはず」と思いを巡らせ、「警察の行為は許されない」と力強くつづった。祖母の棚原美江子さん(71)は「とっても素直な性格。私たちが軽口を言っても怒られる」と語る。
デジタルネイティブ世代で、ネットも活用する大城さん。「新聞はいろんな世代に見てもらえ、いろんな考え方にも触れられる。これからも投稿したい」。“新人”ながら、感受性豊かな10代の投稿が紙面を飾っている。
(仲村良太)