ミツバチの飼育数、沖縄が2年連続で日本一 温暖な気候だけではない、その理由とは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ミツバチの様子を確認する新垣養蜂園の新垣伝副代表=5日、那覇市首里金城町

 農林水産省の2020年の調査で、ミツバチの飼育数で沖縄県が2年連続で日本一になった。県内では冬でも温暖な気候を生かしてビニールハウス内での花粉交配に用いるミツバチの飼育が本島北部などで盛んになっている。一方で、県産蜂蜜の人気も根強く、少量ながら付加価値の高い生産体制となっている。

 20年1月時点の飼育蜂群(ほうぐん)数(1群数はハチ2万匹相当)が、沖縄は前年比8%(1300群)増の1万6千群となり、2位の長野県の1万2400群を上回った。沖縄は19年の調査で長野の飼育数を初めて上回っていた。

 県内の飼育者数も前年比18%(36人)増の232人となり、拡大が続いている。

 県外では、気温が下がる11~3月に花粉交配用のハチの入手が難しくなるというが、温暖な沖縄では年間を通してハチの飼育が可能だ。イチゴやナス、サクランボ、メロンなどを生産する県外ハウス農家向けに、沖縄産のミツバチが出荷されている。

 名護市を拠点にミツバチ出荷を手がけるアピ(本社・岐阜県)の野口正男ミツバチ沖縄生産管理センター長は「需要に応じて、県内の生産者のボトムアップを図っていきたい」と語る。

 花粉交配用のハチ飼育が盛んになる中で、沖縄の自然を生かした蜂蜜作りも進んでいる。

 1954年創業の新垣養蜂園(那覇市、新垣勉代表)は、首里金城町の本店をはじめ、本島南部を中心に約20カ所で約150群を飼育している。ハチたちが首里周辺で集めたシロバナセンダングサや月桃などの花の蜜を「首里王朝蜂蜜」と銘打ち、複数の養蜂園とも協力してブランド化に取り組んでいる。

 新垣代表は「県産にこだわりを持っている。(蜂蜜のブランド化で)首里城周辺の活性化にもつながれば」と意気込んでいる。

 恩納村仲泊の蜂蜜店「Honey Bee 蜂優(for you)」は10群と少数の飼育だが、自然に近い状態で飼育し、風味豊かな蜂蜜の品質を追求する。池宮崇代表は「大量生産ができない分、付加価値の高いものを作っていきたい」と語った。
 (塚崎昇平)