ひめゆり学徒の体験「さらに戦争から遠くなった世代へ」 資料館リニューアル、イラストや映像を駆使


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リニューアルオープンを12日に控え、作業が進められている展示エリア=7日、糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館

 12日にリニューアルオープンする糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館は沖縄戦から76年となる中、「さらに戦争から遠くなった世代」に元ひめゆり学徒の体験が伝わる展示を目指している。新たなイラストや映像などを使い、より分かりやすい表現への工夫を重ねる。イラストは26点、展示資料はレプリカを含む89点で、このうち15点は、ひめゆり学徒らが「集団自決」(強制集団死)した糸満市の荒崎海岸で、2008年に発見された県立第一高等女学校のユリの模様が施された校章などを新たに追加する。

新たに展示される女子学徒の校章

 これまで、写真や映像を活用し、ひめゆり学徒の体験を伝えてきた。戦争体験者が身近にいない世代が増え、来館者の感想文には「戦争時代」、「ピンとこない」という言葉が記されるようになったという。今回のリニューアルは、来館者の反応や感想文などを参考にした。証言動画には、英語字幕を付け、音声ガイドでは韓国語や中国語にも対応した。元学徒の遺影と共に記され、人柄を紹介する説明文には英訳を付け、海外からの来観者の要望にも応える。

 リニューアルに伴い、同館の職員が中心になり、新たに「ひめゆりの戦後」をテーマにした常設展示も追加する。元ひめゆり学徒の戦後や、ひめゆり平和祈念資料館の設立、開館後の戦争体験を伝える活動を紹介する。

 同館の古賀徳子学芸課長は「大人から子どもまで分かりやすい展示を心掛けた。当時の状況や元学徒の思いを知ってほしい」と来館を呼び掛けた。