基地テーマに研究する県系の大学院生 カリフォルニアから沖縄に移り住んだワケ


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基地建設に反対するメッセージを書いたプラカードを掲げるダニエル・イワマさん=7日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 【辺野古問題取材班】カナダ国籍の県系人で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の大学院生のダニエル・イワマさん(35)が2019年1月から父の故郷・沖縄に住み、米軍普天間飛行場を含めた軍用地が返還された後の都市計画などをテーマに、博士論文のための調査を進めている。調査の傍ら、名護市辺野古の新基地建設に反対する抗議行動にも定期的に参加する。市民らと交流し、沖縄への理解を深めながら研究に取り組む。

 父は沖縄科学技術大学院大学の副学長も務めた県出身のジョージ・イワマさん。父の勤務の関係で、ダニエルさんは子どもの頃に複数回、沖縄で生活した。カナダのブリティッシュコロンビア大学では、先住民の土地を奪ったカナダの植民地に関する歴史も学んだ。強制的に住民の土地が軍用地に接収されるなどした沖縄の歴史にも関心を持ち、研究を進めている。

 博士論文の執筆に向け、県内市町村の都市計画担当者や軍用地を扱う不動産業者、基地建設に反対する抗議行動の参加者など、多様な立場の約30人にインタビューした。今後も継続して調査し、1年後をめどに論文の完成を目指す。ダニエルさんは「いろんな意見を聞き、沖縄の軍用地と先住民族の政治、自己決定運動などについて調べていきたい」と語った。

 沖縄防衛局は7日も辺野古新基地建設の作業を進めた。名護市安和の桟橋では多くの工事車両が道路に並び、埋め立て用の土砂などを搬入した。米軍キャンプ・シュワブゲート前では、計120台の工事車両による搬入が行われた。基地建設に反対する市民らは安和やシュワブゲート前などで基地建設の強行に強く抗議した。