校舎前を走る姿も…戦前の三中生徒たちの写真、米で発見 首里城の壕から兵士が持ち帰る


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県立第三中学校の校舎前の道を駆ける生徒たち(「Urthman’s Genealogy Blog」より)

 沖縄戦で米第10陸軍が首里の地下壕でネガフィルムを見つけ、現像して持ち帰った写真のコピーが現存していることが分かった。写真には、戦前の県立第三中学校(名護町=現名護市)の校舎前を駆ける生徒の姿や、1939年から三中で教頭を務め、戦後は米軍統治下で初代行政主席を務めた比嘉秀平氏が光本光治校長らと並ぶ集合写真もある。光本氏は41年4月~44年7月に同校校長を務めたことから、一連の写真はこの時期に写されたとみられる。

 名護市教育委員会文化課市史編さん係職員で沖縄戦に詳しい川満彰さんは「校舎前を走る姿など、学校周辺の風景まで写っている写真は珍しい。比嘉氏が生徒らと写る写真も貴重だ」と話す。

 写真は、沖縄戦に従軍し、写真解析部隊に所属していた元陸軍中尉のラインハルト・T・コワリスさんが持ち帰っていた。

 息子で米国ユタ州、ブリガム・ヤング大学名誉教授のバート・J・コワリスさん(68)が父親の遺品の中から見つけ、自身のブログで公開して関係者を探している。

 コワリスさんによると、写真の裏には父親の筆跡で「これらの写真のネガは首里城につながる地下壕から見つかり、我々が現像した」と記されていた。

(中村万里子)

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