「一石を投じてくれた」 土砂採取意見書否決に抗議する男性を豊見城市長が激励 座り込み最終日


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山川仁市長(右)の激励を受け、涙ぐむ金城博俊さん=8日、豊見城市役所前

 【豊見城】沖縄戦戦没者の遺骨が残る可能性のある本島南部の土砂を、埋め立てに使用しないよう国に求める意見書を豊見城市議会が否決したことに抗議するため、市根差部のトマト農家金城博俊さん(43)が豊見城市役所前で3日から始めた座り込みが8日、最終日を迎えた。同日夕方には公務を終えた山川仁市長が激励に訪れ「政治が間違った時に市民が声を上げるのは大事だ。金城さんが一石を投じてくれた」とねぎらった。

 金城さんは市議会に同様の意見書の可決を求める署名も募っており、6日間で2178筆が集まった。連日、子どもから高齢者まで幅広い世代が訪れ署名した。早ければ来週中にも市議会へ提出する。金城さんは「充実した6日間だった。動いてよかったなと思う」と振り返った。

 8日午後5時15分過ぎには山川市長が姿を見せ、金城さんの体調を気遣った。「政治は市民生活に直結している。政治の原点は平和だ」と言葉を送った。金城さんは目頭を押さえながら「仲間の支えがあってできている。(議会の否決は)市民目線ではないと思う」と答えた。

 豊見城市議会が意見書を反対多数(賛成8、反対9、退席4)で否決したことを踏まえ、金城さんは「できれば臨時議会を開き全会一致で可決してほしい」と望んでいる。意見書に賛成した与党市議は「野党や議会事務局と調整し、早ければ5月中旬に臨時議会を開きたい。遅くとも6月定例会での可決を目指す」と話した。

 退席した野党議員の一人は金城さんの抗議を「重く受け止めている」と語った。その上で「県議会の推移を見守りつつ、市議会も全会一致での可決に向けて努力していきたい」と意見書可決へ前向きな姿勢を示した。反対した野党議員は「県議会の動きを見て賛否を決めたい」と述べた。