利用客ゼロの日も…運転代行業者、コロナ禍の苦境訴え


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運転代行業の現状について話す(左から)安慶名代行の新垣靖さん、運転代行丸大の大里朝男さん、運転代行具志川の福地和雄さん、ニュー花笠の平川忠さん=9日、うるま市与那城

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、沖縄県も「まん延防止等重点措置」の対象に追加される。夜間の飲酒・飲食の機会が減る中、運転代行の利用が激減している。車社会の沖縄では、運転代行業者の数が全国で最も多いと言われており、長引くコロナ禍で廃業する業者も出てきているという。

 運転代行業の多くは、午後8時から翌朝5時ごろまで稼働。飲食店の時短営業に伴い、運転代行の各事業者も営業開始を午後7時に前倒しにするなど工夫するが、2~3時間程度しか営業にならない。うるま市の安慶名代行と運転代行丸大は、飲食店などに時短営業要請が発令されたことに伴って、休業を決めた。

 1日の収入はコロナ前の3割程度の数千円程度しかなく、利用客がゼロの日も多いという。売り上げが激減しても、車両の維持費は変わらず、安慶名代行の新垣靖さんは「みんな行き詰まっている」と苦境を訴える。

 また、車という密室での業務となる運転代行は、感染リスクから運転手らを守る対策も求められる。タクシーの場合は、運転席と客席との間のビニールシートの設置や、車内の消毒など感染対策を取ることができる。一方で運転代行は利用客の車を運転するため、マスクや手指の消毒ぐらいしか自主的な対策が取れない。ニュー花笠の平川忠さんは「運転中に、窓を開けることをいやがるお客さんもいる」と対応の難しさを話す。

 新垣さんらは、運転代行業者向けの給付金の創設をうるま市議会に請願するなど、行政の支援を求めてきた。新垣さんは「飲食店のように補償を受けられない。どの業種も厳しいのは分かるが、せめて生活費の一部でも支援してほしい」と話した。