糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館が12日のリニューアルオープンを前に報道陣に公開された。同日、初めて元ゆめゆり学徒らが新たな展示を見て回った。今回の展示構成は、初めて戦後生まれの職員が中心に担当した。元学徒らは「体験者でない皆さんが、戦争を知らない世代の人たちにどう伝えるかという工夫がされている」と充実した展示に拍手を送った。
同資料館は1989年に開館し、2004年の最初のリニューアルまで沖縄戦に動員された元学徒らが中心となってきた。2005年から戦後世代の育成を始めてきたが、戦争を体験していない世代の職員らが中心となるリニューアルは今回が初めて。「戦争からさらに遠くなった世代へ」をテーマに、身近な家族に戦争体験者が少なくなった今の世代により伝わるようイラストや映像を使い、より分かりやすい表現になるよう工夫を重ねた。楽しい学園生活の様子、戦時体制下の教育で戦場に動員された過程、元学徒らが資料館設置に至った経緯や語り部の活動など戦後の活動も紹介している。
元学徒「あぁこれなら分かるかも…戦争は最大の過ち」
見終わった元学徒らは取材に答え、仲里正子さん(92)は「開館して30年間。若い職員たちと、いろいろなことを一緒にしてきたことが細やかに今度の展示にあらわれている。感動しながら見せていただいた。戦争ってこんなに大変だと分かってもらえる展示になっている」と語った。
本村つるさん(95)は「私たちが若い時は勝ち戦で、女学生になって戦争に動員された時には、戦争というのは人を殺すだけだと思いました。リニューアルで平和の時代から戦争への過程がはっきりと分かる内容になっていて、とっても感激しました。よく頑張ったと思います」と評価した。
島袋淑子さん(93)は「戦争を知らない人たちが分からない人たちが分かるようにという形に変わっている。あぁこれなら分かるかもしれないという気持ちで見ました。なぜこんなにたくさんの人が死ななければならなかったのか。命を大事にすること、戦争は人間が起こす最大の過ちだということを感じてほしい」と力を込めた。
普天間朝佳館長は「このリニューアルは、大事な次世代への継承の1つだと思っている。戦争から何十年もたって風化はある意味で仕方がないことだが、大切なのはあらゆる機会を通じて、繰り返し戦争体験を振り返り、戦争にならないためにはどうすればいいか、考えていくことだと思う」と話した。開館は午前9時から午後5時25分。年中無休。