「市民の環境厳しい」「騒音訴えに無力感も」普天間返還合意25年 松川宜野湾市長に聞く


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米軍普天間飛行場の返還合意から25年を前にインタビューに答える松川正則宜野湾市長=9日、宜野湾市役所

 米軍普天間飛行場の全面返還合意から12日で25年となり、「まちのど真ん中」に同飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長に話を聞いた。

 

 Q.四半世紀の受け止めはどうか。

 「当時は驚く大ニュースで、良かったと思った。しかし返還は市道宜野湾11号整備の一部で、(飛行場の)運用は止まらない。市民は25年間、騒音や事件事故のある厳しい環境に置かれ、心苦しい」

 

 Q.夜間飛行や外来機飛来が常態化している。

 「夜間騒音やジェット機の飛来があると我慢できない。市民以外の県民や国民も、(普天間飛行場が)大変な状況にあることを実感してほしい」

 

 Q.市長としてどう取り組むか。

 「一日も早い閉鎖・返還などを常に発信している。訪米など、できるもので発信を続けたい。政府には騒音被害を訴え続けているが、米軍の運用で片付けられ無力感を覚えることもある。閉鎖・返還に向け知事らには、あらゆる方策を検討してほしいと訴えているが、取り入れられていない。例えば(同飛行場の)面積を小さくするとか、具体案があれば示してほしい。知事には県民生活を守る視点で取り組んでもらいたい」

 

 Q.同飛行場の名護市辺野古移設の見解はどうか。

 「現状で選択肢がそれしかないのであれば、『容認せざるを得ない』と発信している。政府は返還に関する期間を約12年と示したが、もっと早めにできないか努力してほしい」

 

 Q.同飛行場は泡消火剤流出から10日で1年となる。

 「大変な事故で市民の不安も大きかった。市内の湧き水から高濃度の有機フッ素化合物も検出されており、何とかしないといけない。(関係機関で基地内へ)立ち入り調査をして原因を把握し、支障除去をしてほしい」
 (聞き手・金良孝矢)