米軍普天間飛行場返還合意25年 響く爆音、続く被害 FA18飛来、騒音115デシベル


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滑走路上に張られたワイヤに機体後部のフックを引っかけて停止するFA18戦闘攻撃機=12日午後5時半ごろ、宜野湾市の普天間飛行場(新里圭蔵撮影)

 1996年の米軍普天間飛行場の全面返還合意から25年を迎えた12日夕、同飛行場に山口県の岩国基地からFA18戦闘攻撃機4機が相次いで飛来し、市街地に爆音を響かせた。訓練は夜間まで続いた。返還合意から四半世紀がたっても、米軍機による飛行が周辺住民に被害を及ぼす実態は変わらず、深刻さは増すばかりだ。

 県によると、宜野湾市上大謝名地域で午後5時30分に115.8デシベルが記録された。110デシベルは間近で聞く車の警告音に相当し、120デシベルは人間の聴力の限界に迫るとされる。

 在沖米海兵隊は12日夕、普天間飛行場内で訓練の様子を本紙などに公開した。取材に応じた第172海兵航空師団支援中隊のジェームズ・プライヤー司令官は、12日に実施した理由を問われ「各地で実施している訓練の一環で、たまたま普天間で行う機会だった」と語った。騒音について「即応力と住民の不安のバランスを取ってやっているつもりだ」と述べた。

 今回の飛来は、離島などに補給や攻撃の一時的な拠点を構える戦略構想EABO(遠征前方基地作戦)に関連する訓練の一環。12日は滑走路が短い場合などを想定し、ワイヤを機体に掛けて短距離で着陸し再度離陸する訓練を実施した。17日まで関連の訓練が続く。