阿野さん「かよう新聞」を卒業 地域の話題発信 後任に引き継ぐ


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3月で「かよう新聞」の編集を終えた阿野翔大さん=8日、名護市のわんさか大浦パーク内のカフェ「スーミーコーヒー」

 【名護】名護市嘉陽区の広報紙「かよう新聞」を創刊時から編集してきた阿野翔大さん(30)が、3月いっぱいで書記を卒業した。新生児の誕生、カフェオープン、伝統行事のお知らせなど地域の細かな情報発信を続けた。「故郷が身近なものであると感じてほしい」と区外に出た出身者にも郵送で紙面を届けた。

 高齢者でも読みやすいように文字は大きく、文字だけじゃなく写真を使って説明する。シンプルなレイアウトだが「おしゃれ」と区民からは好評だ。

 阿野さんは兵庫県出身で、中学で恩納村に引っ越した。琉球大学時代に「地方の暮らしを知りたい」と春休みを使って嘉陽に2週間滞在して散策マップを作製した。近所からの野菜や食べ物のお裾分けは日常茶飯事で、親身になって地域の人が関わってくれた。「沖縄で初めて親戚ができたと思った」とうれしそうに振り返る。

これまで発行された「かよう新聞」

 2017年に書記となり、翌年から新聞を発行した。出来事を淡々と伝える一方、阿野さん独自の目線も盛り込んだ記事もある。旧正月のカーウガミ(川拝み)では、若者に行事の意図を何度も何度も、繰り返し説明する高齢者がいた。「伝統行事を次の世代に残したいという強い思いを感じた」と当時の様子も紙面に残している。

 「嘉陽の人の暮らしや行事を少しは伝えられたかな」と照れくさそうに話す。新聞発行は後任に引き継ぎ今後も続く。阿野さんは4月から名護市のわんさか大浦パークでカフェ「スーミーコーヒー」の経営に専念している。

(喜屋武研伍)