沖縄県議会は15日、沖縄戦戦没者の遺骨などが混入した土砂を埋め立てに使用しないことを政府に求める意見書を全会一致で可決した。意見書全文は次の通り。
沖縄戦では一般住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が行われ、多くの尊い命が失われた。糸満市摩文仁の平和祈念公園内にある「平和の礎」には、国籍や軍人、民間人の区別なく、沖縄戦などで亡くなられた24万1593名の氏名が刻銘されている。
糸満市摩文仁を中心に広がる南部地域は、1972年の本土復帰に伴い、戦争の悲惨さや命の尊さを認識し、戦没者の霊を慰めるために、自然公園法に基づき、戦跡としてはわが国唯一の「沖縄戦跡国定公園」として指定されている。同地域では、沖縄戦で犠牲を強いられた県民や命を落とされた兵士の遺骨が残されており、戦後76年が経過した今でも戦没者の遺骨収集が行われている。
さきの大戦で犠牲になった人々の遺骨が入った土砂を埋め立てに使用することは人道上許されない。
よって本県議会は、下記の事項が速やかに実現されることを強く要請する。
記
1 悲惨な沖縄戦の戦没者の遺骨等が混入した土砂を埋め立てに使用しないこと。
2 日本で唯一、住民を巻き込んだ苛烈な地上戦があった沖縄の事情に鑑み、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」により、日本政府が主体となって戦没者の遺骨収集を実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年4月15日 沖縄県議会
宛先
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣、環境大臣、防衛大臣、沖縄および北方対策担当大臣