首里城復元事業 防災と矛盾なく 那覇、高良倉吉さん講演


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠
「首里城の今と昔」と題して講演する高良倉吉さん=17日、那覇市のパレット市民劇場

 パレットくもじの開業30周年記念講演会が17日、那覇市のパレット市民劇場で開かれ、琉球大学名誉教授で歴史家の高良倉吉さんが「首里城の今と昔」と題して講演した。高良さんは「琉球の先人が築いた文化や営みを形としてよみがえらせる中心になるものが、首里城の復元だ」と語り、30年以上にわたって情熱を傾けてきた復元事業への思いを語った。 

 2019年10月の火災で正殿など主要施設が焼失し、高良さんは国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」の委員長を務める。25年の正殿再建に向けた「令和の復元」についてスケジュールや議論の状況を説明し、「伝統的な木造建築の雰囲気を壊さず、防災・防火対策を徹底することをいかに矛盾なく解決するか。皆で知恵を出し合いながら検討を進めている最中だ」と語った。

 沖縄戦で破壊された首里城の姿を取り戻した前回の復元を振り返りながら、琉球王国の文物や史料が国内、海外各地に散らばって収集・保存されていることを紹介。「史料がなく、復元していない建物もある。首里城は未完成で、宿題が多く残っている。次の世代が新たな調査研究や情報収集によって復元に取り組んでほしい」と語った。