自然と人が共生できる道は 金城実倫(南部報道部)


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written by 金城実倫(南部報道部)

 私が取材する南城市、与那原町、座間味村、渡嘉敷村は自然が豊かな地域だ。

 与那原町では海鳥の鳴き声が響き、季節によっては雨乞森からアカショウビンの心地よい鳴き声が聞こえてくる。渡嘉敷村や座間味村では輝く海と白い砂浜に感動する。そして南城市には、貴重な動物たちがすむ緑豊かな森と湧き水がある。

道路を渡るイモリ=2020年12月、南城市大里大城

 雨上がりの斎場御嶽(せーふぁーうたき)を取材した時、岩陰から流れる澄んだ水にイモリが悠々と泳いでいた。ここは祈りの場所であると同時に「大自然の宝庫だ」と実感する。ある雨の日には取材先の南城市役所へ行く途中の道でイモリと遭遇した。「こんな場所にもいるんだね」と、愛らしく、のこのこと道の上を歩くイモリの姿につい見入ってしまった。南城市にも生息すると言われている絶滅危惧種のイボイモリにも、いつか出会いたい。

 3月1日、南城市役所の隣に広大な駐車場が完成した。27日には「南部東道路」の一部供用が開始された。市民からは「地域活性化」を期待する一方、「自然を壊してまで造るものか」という声もある。駐車場や道路の周囲には木々が伐採されたような山肌が見え、痛々しさを感じる。自然と人が共生できる道はないのか。苦悩しながらペンを握りしめる。

(南城市、与那原町、座間味村、渡嘉敷村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。