スリランカに日本型教育 県内団体開校、共感力育む かりゆしウエアで授業も


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
日本スリランカ次世代育成サポートのディリープ・チャンドララール理事長(右)と、日進商会の大城直也社長=22日、那覇市泉崎の県庁

 県内で多文化共生を目指して活動する「日本スリランカ次世代育成サポート」は、今年1月、スリランカに日本の教育方法を取り入れた学校を開校した。「きぼう学校」と名付けられ、学力、実践能力、共感力を備えた人材の育成を目指す。月に1度、教諭らがかりゆしウエアを着用して授業する「ジャパンデー」を設け、日本や沖縄の文化を発信している。同サポートのディリープ・チャンドララール理事長が22日、県庁で記者会見し発表した。

デナガムワ村に開校した「きぼう学校」(日本スリランカ次世代育成サポート提供)

 チャンドララール理事長は1983年にスリランカから日本に留学し、92年に神戸大学大学院で博士課程を修了、98年に沖縄大学の助教授に着任した。日本の教育現場を実際に見て、生徒に寄り添う教諭の姿勢や、課外活動、キャリア教育などに刺激を受けたという。スリランカの教育制度は「知識を増やすことに重点を置き、問題解決能力の育成が乏しい。協働性、共感力を育む教育のためにも日本の教育方法を持ち帰りたかった」と話した。

 現地の学校運営団体と協力し、都市コロンボから車で2時間のデナガムワ村に学校を開校した。村には元々学校はあったが、教員体制など教育環境は不十分で、都市部の環境が整った学校に通うには多額の費用がかかる。「きぼう学校」は費用を約3分の1に抑えた。現在は幼稚部30人と小学1年生10人を受け入れている。スリランカは小学校が5学年制で、今後は5年生までを受け入れる体制を整える方針だ。教諭は計6人で、留学や教育研修など日本で学んだ教諭もいる。

 「ジャパンデー」で教諭が着用するかりゆしウエアは染色した生地の裏面を表に採用した淡い色のデザインで、日進商会(糸満市)が寄贈した。会見に同席した大城直也社長は、スリランカでは派手な色が好まれるため「裏表が逆じゃないかと困惑されたが、文化交流になったと思う」と笑顔を見せた。

 5月には日本語の専門学校も開設予定。チャンドララール理事長は「日本の学生などを対象に短期の学校ボランティアも募集している。スリランカでは英語教育も盛んで日本の学生にとっても学ぶ機会になる」と交流促進にも期待した。