「レプトスピラ症」感染の仕組み解明 琉球大、OIST、東北大の研究チーム


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腎臓の細胞(青)に付着する病原菌レプトスピラ(研究チーム提供)

 沖縄など熱帯・亜熱帯地域に多く見られる感染症「レプトスピラ症」について、琉球大学と沖縄科学技術大学院大学(OIST)、東北大学の研究チームは23日までに、病原菌レプトスピラが細胞間のつながりを破壊し、臓器に広がる仕組みを解明したと発表した。研究チームは「新たな治療法、予防法の開発につながってほしい」と期待した。

 レプトスピラ症は人獣共通の感染症で、病原菌は感染した動物の尿に存在する。人は、尿に汚染された水などが傷口や粘膜に触れることで感染する。川遊びなどのレジャーで感染する事例が多い。症状は発熱や頭痛、筋肉痛などで、重症化すると、肝臓や腎臓の機能障害を起こし、死に至ることもある。国内では2007年~16年の10年間で258人が感染し、うち142人は県内で感染している。

 これまで、病原菌のレプトスピラが細胞と細胞の間を通りながら肝臓や肺、腎臓などにたどり着くことが指摘されてきた。研究チームは腎臓の細胞を使って実験し、細胞同士をくっつける働きをするタンパク質「カドヘリン」に着目。病原菌がカドヘリンの役割を阻害し、細胞間のつながりを断って通り道をつくっていることが分かった。

 研究成果をまとめた論文が16日、英国の科学雑誌「Cellular Microbiology」のオンライン版に掲載された。