沖縄県うるま市に研究拠点を置く長崎大発のバイオベンチャー企業、AVSS(エーヴィス、長崎県、小林信之社長)は20日から、新型コロナウイルスの変異株の検出に対応するPCR検査を開始した。結果判明までの時間が短縮化され、変異株の広がりをより迅速に捕捉できるようになるという。同社によると、民間企業が変異株解析をするのは全国でも珍しいという。
「N501Y」と「E484K」を対象とする。県内の民間医療機関が採取した変異株疑いのある検体を、うるま市州崎の沖縄ライフサイエンス研究センター内にある同社の施設で検査し、翌日までに変異株の有無を明らかにする。
公益性を重視し、当面は無償でサービスを提供する。AVSS沖縄研究室の春山貴弘統括研究員は「医療現場には、変異株かどうかをより早く知りたいというニーズがある」と話した。
AVSSは現在、行政検査やエッセンシャルワーカーの検査などを担い、多い時には検査が1日2千件を超えるという。小林社長は、正確な検査をより広く普及させるために、検査に特化した新会社「ACTLab.(アクトラボ)」を設立し、5月中旬ごろに那覇市の国際通り沿いに検査センターを開設する。
センターではPCR検査と抗原検査を実施する。料金は、県の補助を受けることを前提に、2千~3千円程度を予定。将来的に、ワクチン接種後の抗体検査も予定しているという。唾液検体を採取し、AVSSの施設で検査する。
前長崎大薬学部准教授で、4月に就任した稲嶺達夫取締役COO(37)は「気軽に検査を受けてもらい、同時に感染予防にも意識を持ってもらえるようにしていきたい」と話した。