コロナ資料黒塗り、沖縄の観光業界も困惑「情報あれば対応するのに」


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「接待を伴う飲食店」などが赤く囲まれていたページ

 沖縄県が新型コロナウイルス感染症対策の関連資料を黒塗りで公開していたことについて、観光業界からは情報開示の姿勢を疑問視する意見や戸惑いの声が上がった。県が黒塗りにした資料には、県外からのウイルスが「観光業」と「接待を伴う飲食店」に関連して広がったことを示唆する相関図が描かれていた。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の中村聡専務理事は、黒塗りの意図について「観光業をかばうようなことを言っているが、理解できない」と指摘。「観光が感染拡大の要因だというならばその対応策に動くが、その情報さえ聞いていない。移入例が少ないと言っていたのは何だったのか。臆測で物事を判断せず、統計資料を出すべきだ」と指摘し、データを示し対策に生かすべきだと強調した。

 美ら島観光施設協会理事の大城宗直氏は「当初は移入例もあったので、業界から水際対策を提案して動いた。(いまだに移入例があるならば)業界としても対応に動く。観光と感染症の問題に対して、県の向き合い方は残念だ」と話した。

 県レンタカー協会の白石武博会長は「感覚的な議論に終始しないために、数字や根拠を示し、正しい情報を出していくことが重要だ。(観光客や業界が)ウィズコロナの感染対策に取り組んでいることにも着目してほしい」と求めた。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「(観光業をおもんぱかることと)情報を公表するかどうかは別問題だ。仮に表に出すことで著しく不利益を生じる可能性があるので非公開にしたというのであれば、理由を明確にすればいい」と話した。