九回2死、不調の4番が逆転サヨナラ弾 興南・野田の意地と狙い


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社

 高校野球の春季九州大会(第148回九州大会)第3日は27日、大分市の別大興産スタジアムなどで準々決勝が行われ、興南、具志川商が4強入りを決めた。今春の選抜大会で8強入りした福岡大大濠、九州国際大付(福岡)が準決勝に進んだ。

 鹿児島実業と対戦した興南は1―2の九回裏2死一、二塁で4番の野田愛眞がサヨナラ3点本塁打を放ち、4―2で勝利。具志川商は長崎商を8―4で下し、初の九州4強入りを決めた。福岡大大濠は4―0で選抜大会準優勝の明豊(大分)を破り、九州国際大付は宮崎商に7―0の八回コールドで快勝した。28日の準決勝は興南―九州国際大付、具志川商―福岡大大濠の顔合わせとなった。

興南―鹿児島実業 9回裏興南2死一、二塁 サヨナラ3点本塁打を放つ4番・野田愛眞=27日、大分市の別大興産スタジアム

 意地で放った1本だった。興南は4番に座った野田愛眞の一打で劇的なサヨナラ勝ち。野田は県春季大会でなかなか結果が残せず、初戦の2回戦も1安打で下がっていた。貴重な場面での1本に「勝利にもつながったし、すごく自信になった」と目を輝かせた。

 県春季大会王者の興南と鹿児島実業のゲームは、投手戦となり、スコアボードにはゼロが並んだ。七回に1年でただ一人スタメンの仲程雄海が三遊間への適時内野安打で先制し最終回へ。しかし、最後に試合が大きく動いた。

 六回から登板の山城京平は、初戦の疲れからか九回には先頭に四球を許し、内野陣の失策にバッテリーエラーもあって逆転を許してしまう。

 追い詰められた興南は九回裏、先頭の代打、呉屋輝が内野安打で出塁する。2死後の四球で一、二塁。打順はこの日無安打の4番・野田。「高めに浮いた球だけを狙って思い切り振り抜く」。狙い通りの直球だった初球をフルスイング。打球が左翼席へと吸い込まれると、ゆっくりとダイヤモンドを一周した。

 特大の一打に、ベンチで見守っていたナインも「よっしゃ!」と、この日一番の歓声で野田を迎えた。我喜屋優監督は「先頭打者も粘ってよくつないだ。あの場面でチャンスをものにできたのは野田の力」と手放しで褒めた。

 (上江洲真梨子)