【記者解説】20年度求人倍率、過去最大の下げ幅 深刻化する沖縄の雇用情勢


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 3月の県内完全失業率が4・4%に悪化し、2020年度平均の有効求人倍率は過去最大の下げ幅を記録した。背景には新型コロナウイルスの感染拡大による観光需要の停滞がある。県の基幹産業・観光の主な雇用の受け皿である宿泊・飲食サービス業や、卸・小売サービス業などを中心に、全産業に影響が広がっている。

 国や県はこれまで、雇用調整助成金を活用した雇用の維持を企業に呼び掛けてきた。一方、沖縄労働局には「休業が続いて厳しい」「会社を閉めないといけない」などの相談が相次いで寄せられている。

 年度末にかけて希望退職の募集や、契約更新がされないことで離職者が増えているといい、コロナ禍の影響はより一層深刻化している。助成金だけでは雇用の維持は困難だ。

 沖縄労働局の福味恵局長は「感染拡大の影響が県内では非常に大きく、雇用情勢の回復には全国よりも時間を要するだろう」と指摘する。

 感染拡大が長期化し、収束の見通しが立たない中、企業は雇用調整に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれている。事業の継続を支援し、雇用を下支えするためには、事業主に対する支援と、労働者に対する生活支援の両輪が必要だ。

 (比嘉璃子)