秋の九州と選抜大会で登板し、今大会も2回戦で先発した新川俊介だったが、その後、右腕に不調を抱えていた。「新川はもう投げさせない。準々決勝からは総力戦でいく」(喜舎場監督)。エースを欠いた中でも、具商投手陣に不安なそぶりは全くなかった。
決勝で先発した田崎陽誠は「自分たちが引っ張っていく、と覚悟を決めた」と気迫あふれる投球で次々仕留めていく。カーブにスライダーが効果的で「タイミングをずらそうと心がけた」。五回まで得点圏に走者を背負ったのは三回のみの好投だった。
田崎からマウンドを引き継いだ伊波勢加は、1点を与えた七回、なおも2死三塁で自己最速を4キロ更新する139キロを投じてスイングアウトに切って取る。選抜、九州と経験を積み「一番変わったのは気持ち。一球ごとに一喜一憂しなくなった」と精神面での成長を実感していた。
最終盤の2回を務めた山田極登は八回の先頭に打たれたが、その後の打者は全て初球のフライアウトに打ち取って締めくくった。
チームメートの急成長に、背番号1の新川は「夏までに奪われないか」と今から火花を散らす。夏に向けたエースナンバーの争いは、さらなる成長を促すことになりそうだ。
(上江洲真梨子)