高校野球の春季九州大会(148回大会)最終日は30日、大分市の別大興産スタジアムで決勝が行われ、具志川商が九州国際大付(福岡)に3―1で勝ち、初の栄冠を手にした。昨秋の九州大会で4強入りを逃してから約半年、その雪辱を期した春に一気に頂点まで駆け上がった。県勢の春季九州大会での優勝は7度目。秋を含めると13度目の優勝となった。具志川商は五回、知名椋平と大城勢武太の2本の二塁打で2点を奪って勢いづいた。先発の田崎陽誠が五回までを投げて3安打、無失点、三塁を踏ませぬ好投でリズムをつくった。その後も堅守で九州国際大付を七回の1得点で封じた。149回大会となる秋季九州大会は沖縄開催。那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇などで10月23~29日に行われる。
九回2死、宙に大きく飛んだ打球が中堅の大城勢武太のグラブに吸い込まれた。その右手のグラブを高々と掲げ、左手でガッツポーズを決める。ナインは「しゃー!」と歓声を上げ、マウンドに駆け寄った。九州初制覇の具志川商。チームテーマの組織力で個々を補い合いつかんだ頂点だった。
拮抗(きっこう)した試合が動いたのは五回。バント安打の島袋大地を二塁に進め、打席には知名椋平。ここまで納得いく結果は残せていないと感じていたと言うが「あそこで打てたのは、すごい価値ある一打だった」。自画自賛の打球は、三塁線をなめるようにして外野に転がり、貴重な先制点につながった。「最後の最後で雰囲気を変える一打が出せた」と万感の思いで振り返った。
「ここまできたなら優勝を意識していけ」。決勝前夜、最後のミーティングで喜舎場正太監督が選手に声を掛けた。全員がその言葉を胸に刻み、成し遂げた優勝の味は別格だった。粟國陸斗主将は、甲子園での経験がチームを変えたとし「九州での初優勝は自信になる。ただ夏の県予選で頂点を取らないとまた甲子園には行けない」。再び聖地への思いを新たにナインの熱い夏はすぐに幕を開ける。
(上江洲真梨子)