住宅建築費、上昇続く りゅうぎん総研調べ 木造は県外参入で減


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 りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)は30日、1戸当たりの工事予定額から、今後の住宅市場の展望をまとめた調査リポートを発表した。県内では建築単価の上昇や資材価格の高止まりが続き、2015年1月と比べて住宅の工事費用は増加傾向が続いている。一方で、分譲住宅の木造一戸建ては、県外ハウスメーカーの進出などでコストダウンが進み、工事費が減少したことが示された。

 調査によると、RC(鉄筋コンクリート)造住宅の1戸当たりの工事費予定額は、持ち家一戸建てが15年1月比で574万円増の3201万円、アパートなどの貸家共同建てが同214万円増の1096万円、マンションなどの分譲住宅共同建ては同431万円増の1983万円だった。
 公共工事や大型ホテルなどの建設が続いていたことで、建設現場の人手不足が顕在化し、建築単価が上昇。RC造は、いずれの建て方でも増加した。

 木造は、持ち家一戸建てが同484万円増の2356万円だったのに対し、分譲住宅は同289万円減の1551万円となった。木造分譲は、木造の建築・販売のノウハウを持つ、県外ハウスメーカーの進出が目立っている。資材の一括仕入れ、工期や建築費を大幅に減らせるプレカット加工工場の設置で、コストダウンが図られ、工事費予定額が減少したとみられる。

 りゅうぎん総合研究所の及川洋平研究員は「コロナ禍で、住宅取得需要が弱まる中でも、分譲木造一戸建ての価格優位な状況は今後も続き、存在感を増すことが想定される」と分析。木造は定期的なメンテナンスが求められることから、「沖縄特有の風土に合った建築は県内ハウスメーカーが得意としており、長寿命化に向けたノウハウの蓄積が期待される」と述べた。