4月30日まで大分県で行われた高校野球の春季九州大会(第148回九州大会)は具志川商の初優勝で幕を閉じた。
逆境に耐える力
喜舎場正太監督は大会中「これまでなら負けていた」と何度も口にした。勝機をつかめず、ミスから突き放されることが多かったからだ。長崎商との準々決勝。三回に投手陣が乱れて3失点を招いた。だが中盤に切れ目ない打線で4点ずつを奪うなど、勝ち越しに成功。「誰一人あきらめず、ピンチをチャンスに変えられた」と逆境に強くなった成長をたたえた。
1試合平均は10安打で、打率は3割4分2厘。県秋季大会の3割3分から微増した。決勝で先制適時打を放った知名椋平は「打線は水物。上位が打てないなら自分たちが打てばいい」と調子の良しあしはあってもカバーし合って、つながる打線を実現した。
投手陣は、主力の新川俊介が2回戦で不調を訴え、準々決勝以降は他の4投手で継投した。中でも下手投げの山田極登、横手の田崎陽誠は防御率0点台の好投を見せた。
3投手の躍進
興南は県春季でチャレンジマッチ以外、登板のなかった左腕の山城京平が完全復活した。先発した2回戦は12奪三振の好投で、制球力が課題だったが、四死球が減った。
救援の生盛亜勇太は、ピンチに起用されると毎回の全力投球で自責点0。エースナンバーをつけた大山北斗は、マウンドさばきに磨きがかかった印象だ。投手陣の成長に我喜屋優監督は「(夏に向け)九州の舞台で投げさせることが目標だった。3投手とも良い経験を積めた」と手応えをつかんでいた。主砲の盛島稜大をけがで欠いた中、逆転サヨナラ本塁打を放った野田愛眞や1年でただ一人スタメン入りの仲程雄海など新戦力の台頭もあった。守備位置や打順変更など、毎試合で模索を続けてた我喜屋監督は「ポジションなどある程度目安は付いてきた。選手入れ替えも可能なほど、層に厚みが増した」と自信をのぞかせた。
“本命”の夏へ
選抜、九州大会と快進撃の具志川商に、九州4強の興南を他校が追い、夏の選手権沖縄大会(6月19日開幕)は群雄割拠の様相を呈する。甲子園切符を手にするのは、どのチームか。熱戦の夏がもうすぐ始まる。
(上江洲真梨子)