やんばる林道での「ドリフト走行」防げ 国頭村が対策、世界遺産登録向け


やんばる林道での「ドリフト走行」防げ 国頭村が対策、世界遺産登録向け
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 【国頭】国頭村の世界自然遺産推薦地周辺の林道で、車体を横滑りさせて曲がる「ドリフト走行」が繰り返されていることから、村が対策に乗り出している。村建設課は4月下旬、辺野喜ダム周辺にある村道辺野喜楚洲線に、ソフトコーンやハンプ(凸型の減速帯)を設置した。世界自然遺産への登録を見据え、村は人も動物もすみやすい環境の実現を目指している。

世界遺産向け設置

 国頭村内の林道では、約20年前からドリフト走行が確認されている。ドリフト走行をする車は騒音をまき散らし、周辺住民を悩ませている。高速で林道を駆け抜けることから、希少動物の生態系への悪影響も懸念される。コーンやハンプの設置で、高速走行を抑制する効果を期待している。

 辺野喜楚洲線の村道は村民の生活路で、付近には国の天然記念物のヤンバルクイナやケナガネズミなどが生息する。長年林道パトロールに協力してきた、村山望さんは「県の天然記念物オキナワイシカワガエルがひかれるロードキルもあった」と明かす。

 今回、コーンなどを設置した場所から300メートルほど離れた林道でも以前、ドリフト行為があった。県が約3年前にブロックのハンプを設置した後は、村が今回設置した場所でドリフト行為が目立つようになったという。安波ダムの近くなど、村内ではドリフトをしたとみられるタイヤ痕が複数、確認されている。

 林道パトロールに取り組む辺野喜区の新里和正さん(65)は「騒音が集落内に響き渡ることもあり、地域住民から苦情もあった。世界自然遺産として、ふさわしい森であってほしい」と願う。一方、コーンなどの設置で「別の林道でドリフト走行をしないか心配だ」と懸念した。同区の60代男性は「午後11時すぎに騒音がすることもあった。人や生き物にとって静かな森がいい」と話した。

 知花靖村長は「そこにすむ人や動植物にとって過ごしやすい環境が望ましい。世界自然遺産登録も控えているので、各種対策に取り組んでいきたい」と意気込んだ。

(長嶺晃太朗)