「改憲、今必要なことか」 改正国民投票法成立に県民から疑問の声


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 改憲手続きに関する国民投票法改正案が衆院憲法審査会で可決され、今国会で成立する見通しになったことを受け、県内からは6日、「今必要なことか」と批判や疑問の声が上がった。

 沖縄戦体験者の玉寄哲永さん(86)は「戦争は死と隣り合わせだった。米軍の収容所で『明日からは逃げないでいい』と母から言われたのが私の平和の始まり。平和があるから発展できた」と戦争放棄の重要性を強調した。その上で「憲法が時代に合わなくなったと言うけれど、9条はいつの時代にも必要なものだ。今、憲法を変える必要はない」と訴えた。

 うるま市具志川9条の会の仲宗根勇共同代表は「安倍政権で集団的自衛権に関する解釈改憲があった。憲法は権力の暴走を許さないためにあるはずなのに、今の流れだと権力の暴走を許す改悪にしかならない」と危惧した。野党の立憲民主党が、改正法案に合意したことについて「立憲の名を冠する政党が立憲主義に反することに協力することは世も末だ」と厳しく批判。「改憲への手続きが定まることで、国民も改憲しないといけないという心理になるだろう。改憲派にとっては、1歩どころか5歩前進だ」と話した。

 県憲法普及協議会会長代行の加藤裕弁護士は、CMや運動資金の規制の課題が残ったままだとし「欠陥があるのに是正を先送りした。今のままでは不当な権力の行使や資金力で民意をゆがめることになる。このまま成立させるというのは、民主主義を踏みにじる行為だ」と批判した。

 さらに、新型コロナ対策など議論すべき課題は多くあるとし「緊急事態条項にしても、9条にしても、急いで改憲しないと国民が困るという状況ではない。政治家の功名心で国民を振り回している。国民の要求とは違うところを進めるという、今の日本の政治の問題が表れている」と述べた。