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海の玄関口「泊港」 コロナ後の離島観光に期待<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 沖縄本島から県内離島への海の航路はいくつあるかご存知でしょうか? 答えは「11航路」です。この中で、渡嘉敷島、座間味島、粟国島、渡名喜島・久米島、南北大東島を結ぶ船舶が発着し、5航路を有する泊港(那覇港泊ふ頭)は「離島へ渡る海の玄関口」と言えます。

 琉球王国の中心だった首里と陸続きの泊港は、安里川の河口に位置し、陸路・水路共に交通の便が良く、13~14世紀にかけて宮古、八重山、奄美の船も出入りし、賑(にぎ)わいのある港でした。海外交易の発展に伴い那覇港が王国の表玄関として整備され、泊港の機能も那覇港に移りました。

 沖縄戦で泊港は壊滅しましたが、戦後米軍により大幅な改修工事が実施されました。1972年の日本復帰を契機に那覇港、那覇新港、泊港を一元化して那覇港は重要港湾の指定を受け、現在の泊ふ頭の形となっています。

 現在の泊港は前述の通り離島への玄関口となっており、過去10年の旅客者数の推移を見ると40万人台から50万人台へ増加しています。ただし、近年は2017年度の56万人をピークに減少しており、さらに、20年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため離島への往来が自粛されたことから、激減していることが推測されます。

 沖縄県内への入域観光客数の回復時期は不透明ですが、新型コロナ感染収束後は、私たち沖縄県民自ら身近な県内離島の観光スポットを訪れ、SNS等で全国・全世界へ魅力を発信するなど、離島観光を盛り上げていくことが期待されます。
 (沖縄銀行高橋支店支店長 長嶺初)