ヤンバルクイナの絶滅を食い止めた!住民・国・県の取り組み<沖縄・奄美 世界遺産>


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林道をパトロールし、生物の生息状況を記録する地域住民ら=2020年3月、大宜味村

 【北部】沖縄本島北部では、やんばるの森に生息する希少な動植物を守ろうと、環境省や県、国頭、大宜味、東の3村の地域住民が連携して自然保護に取り組んできた。野生化したネコが希少種を捕食することへの対策や密猟防止パトロールなどが展開されている。

 野生生物を捕食するネコについては、国頭村安田区が2002年にヤンバルクイナを中心とした野生生物の保護のために「安田区ネコ適正飼養条例」を作り、保護活動を推進した。

 環境省のマングース対策事業の本格化なども後押しし、絶滅寸前だったヤンバルクイナの個体数が増加に転じた。

 05年には3村が条例を制定し、飼い主が分かるマイクロチップの埋め込みや避妊・去勢手術を定めた。

 密猟防止パトロールを担うのは、環境省から委託を受けた国頭村森林組合や、地域住民による密猟防止パトロール組織「やんばるリンクス」だ。夜間や早朝の林道巡回で不審車をはじめ、生物の生息状況なども記録する。

 地道な活動により密猟用わなが年々減少し、住民の自然保護意識の向上にもつながっている。

 県も19年度、林道の夜間通行止めを導入した。林道入り口にゲートと監視カメラを置き、効果を上げている。