自衛隊も個人情報を収集 防衛相、可能性に言及 土地規制法案


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 【東京】自衛隊や米軍の基地など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案が11日、衆院本会議で審議入りした。岸信夫防衛相は法案に基づく現地調査について、「所管省庁およびその地方支分部局が協力することが想定される」と述べ、防衛局職員を含む自衛隊員が調査に携わる可能性に言及した。野党は「人々の個人情報を自衛隊が収集することは(基地反対など)地元の民意を封殺することにつながりかねない」(立民の篠原豪氏)などと批判。国民監視への懸念を指摘した。

 法案は14日の衆院内閣委員会で趣旨説明が行われ、次週から質疑が行われる見通しだ。小此木八郎領土問題担当相は、法案の「早期成立に向け全力で取り組む」と述べ、今国会での成立に強い意欲を示した。

 小此木氏は法案に基づき公簿の収集や報告聴取を一元的に担う部局を内閣府に新設し、情報管理を行う考えを示した。現地調査を担う地方防衛局員の増員も想定される。

 質疑で自民の中谷真一氏は、覇権主義を強める中国の動きなどに触れ、「安全保障においては国民の生命・身体を脅かす実害があってからでは遅い」と、法案の必要性を強調した。

 一方、共産の赤嶺政賢氏は「どこで誰をどのように調査・規制するのかという法案の核心部分が、全て政府に白紙委任している」と問題視した。思想調査にもつながりかねないとして廃案を訴えた。

 一方、立民の篠原氏は規制対象となる基地などの「機能を阻害する行為」を具体的に明示することを求めた。国民民主の岸本周平氏も、航空法が安全阻害行為として便所で喫煙するなどの事例を明示していることを引き合いに、例示の必要性を語った。

 自民の中谷氏も「阻害行為が具体化されていなければ、いくら調査を行っても問題がないということになり、法案が骨抜きになる」として具体化を訴えた。

 小此木氏は、情勢や施設の特性に応じてさまざまな事例が想定されるとし「想定する行為の類型を網羅的に示すことは困難」と述べるにとどめた。