ハーフタイム。藤田弘輝HCがロッカールームに入ると、そこには汗にまみれた選手たちの熱気が充満していた。
「昨日を思い出して、しっかり第3Qに入ろう」「必ず悪い時間帯がくる。守備からやろう」
口々に互いを鼓舞し、チームの原点である守りに焦点を当てる選手たち。脳裏にあったのは、第3Qに13連続得点で突き放された第2戦の苦い経験だ。指揮官が振り返る。「僕は一言もしゃべっていない。それ以上、自分の役割はなかった」
ロッカールームでの自戒は、プレーに如実に表れる。先陣を切ったのは牧隼利。第2戦の第3Qで19得点を挙げた富山の岡田侑大に対し、パスコースをふさぐディナイや間合いを詰める守備で簡単にシュートを打たせない。田代直希主将も富山主将の宇都直輝に圧力をかけ続け、「2人の気迫が守りの強度の基準を決めてくれた」(藤田HC)。
「第2戦は仲間のヘルプに頼り過ぎたけど、それぞれが責任を持って守ることができた」と個々の意識の高まりを堅守復活の要因に挙げたのは岸本隆一だ。準決勝で当たる千葉は、今季の平均得点が富山に次いで2番目に多い89.0。「次も必ず守備が大事になる」と気を引き締めた。